「見~て~よ~。こんなに集めた!」

やっくんの持っている竹の筒の中に、ぎっしり詰まっていたのは、
ヨウシュヤマゴボウのまだ熟していない、緑の実。

「これ2本に満タンだったのを、やっくんの(太い)竹に入れたら、こんくらいだった。」

と、け~くんは、遊びながら見た目と容積の違いも、分かっちゃったらしい。


「これでさ、”実験”してみない?」
「いいね~、それ。」
「水に入れてみる?」
「いや、泥にいれてみて、一緒に混ぜてみるのはどう?」
「いいね~、やろやろ!!」

「まずは、入れ物やな。」

と、あ~くんがおままごと道具の場所へダッシュする。

すると、大きなフライパンに、ぎっしり実を入れて、焚き火のところに戻ってくる。


「これで、溶かしてみるねん。」

見た目は”乾煎り”なのだけれど、溶けるかどうかまずは実験することにしたらしい。

「あ、ほら、つぶしたら、ちょっと汁が出てきてる!」

「オッケー、このくらいでいいな。」

何が、どういいのか、基準はわからないけれど、3人がOKしたら、そこが着地地点。


「今度は、土だ!いくぞ!」

火にかけた実と、やかんにいれた水を持って、いつも土を採っている場所へと走る。


「このくらいかなぁ。」
「あ、もうちょい水入れた方がいい。」
「え、多くないか? みずみずしくなったじゃんか!」

「じゃあ、また土を入れたらいいじゃんか。」
「え、入れる土は、もういいんじゃないか?」
「まだ足りないだろ。」
「あ~、もう!土はもうこれ以上いれないでいいよ!」

「もう!つちつちしく(そんな言葉あるのか?)なっちゃったじゃんか!」


完成形を共有しているわけではないので、
3人それぞれの、”こうしたらいいんじゃないか?”が、交錯し、言い争いが起きる。

それでも、楽しさが勝っているので、その場を離れる子はいない。


「け~くんとやっくんは、(お玉の背で)つぶす感じにしてくれ。
 俺は、こんな風にやっとくわ。」

フライ返しで、切るように中身を混ぜながら、あ~くんが言う。


「赤い実も、いる?」
何やら楽しそうだとやってきたよっくんは、持っていた赤い実をくれた。


「おぉ~」

赤い実が投入されると、歓声が揃う。

そしてまた、土の具合やら混ぜ具合やらを、あーでもない、こーでもないと話しながら、
実験は進んでいく。


ついに、「できた!完成だ!」と出来上がったのは・・・
「ヨウシュヤマゴボウカレーだ!」


器の半分に、土とヨウシュヤマゴボウと赤い実と水が混ざったカレー。
もう半分には、ライスに見立てた白っぽい土。


何の実験をしているのか、何をつくっているのか、全く見えないのに、
実験している間中、3人を取り囲んでいたのは、わくわくのエネルギー。


そして、
「まだまだ他の実験をしたいから、残してあんねん。」と、
まだ使っていないヨウシュヤマゴボウの実を見せてくれた、やっくんの、
何かおもしろいことを企んでいる顔が、とっても素敵だった。


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