「う”わ”~ん」

大泣きのそっちゃんが、駆け寄ってくる。

状況を説明しようと、何か言っているけれど、涙で胸がつまって、
言葉にならない。


「どっか、痛い?」と聞くと、かろうじて頷いて、おなかを指さす。

「そうか~、おなかが痛いのか。」と、氣持ちが落ち着くように背中に手を当てながら、
おなかにも、手をあてる。


すると、後から走ってきたいっちゃんが、
「あ~くんがな、(浮き球の)ブランコを当てたんで!」と説明する。

「ブランコが、あたったの?」と聞くと、力強く頷く、そっちゃん。

「そっちゃんは、何もしていないのに、あ~くんがブランコをぶつけたんで!」



「そりゃ~、痛いな~。」とまたおなかをなでていると、



泣き声を聞きつけてやってきたさっちゃんが、

「ブランコの前に、あぶないよ~って言ったらよかったのにな。」

また、頷く、そっちゃん。

「今度は、さっちゃんが、”あぶないよ~、どいて~”って言ったるからな。
 さっちゃんが、いる時に、やるんやで。」


すると、さっきは怒った感じだったいっちゃんも、

「そうやな、あ~くんだって、わざとじゃないかもしれないしな。
 ブランコの前に、”どいて~”って言ったら、大丈夫やな。」



少しそっちゃんが落ち着いたので、
「ブランコが当たって、何か怪我してないか、見せてな。」
と、ペロッと上着をめくってみる。

「あ~、よかった、怪我もしてないし、おへそもちゃんとあるわ。」


と、言うと、ぎゅんっと上着を戻して、
そっちゃんがニコリと笑って走っていった。



たくさん泣いて、みんなが心配してくれて、あ~くんのことも考えてみる。
あたたかい氣持ちの循環が、うれしかったなぁ。

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