は:「もうっ! 痛いってば~。」

み:「僕は、登るんだよ~!!」


木登りをするのにちょうどいい木の上で、は~ちゃんとみっくんがにらみ合っている。

は:「は~ちゃんが下りられないじゃんか!」

み:「みっくんが、登れないじゃんか!」


どちらも、お互いが邪魔で、思うようにルートを確保できない。

は:「押さないでよ~。」

み:「どいてよ~。」


自分が足を置きたい場所に、既にある、相手の足。
手を置きたい場所にある、相手の手・・・。


木の下の方で、落ちる高さでもないし、手を出す感じでもないので、
言い合いの行方を見守っていた。

氣持ちいいほどに、自分の主張を譲らない、
下りたいは~ちゃんと、登りたいみっくん。


は:「ちょっと下がってよ。」

み:「やだよ、みっくんは、登りたいって言ってるでしょ!!」


お互いに、一歩でも後退したら負け!くらいに思っているのかもしれない。


どのくらい平行線のままだっただろうか。

ふいに、は~ちゃんがするりと体の角度を変えて、地面に降り立った。


大人が介入すれば、すんなり解決したかもしれない。
でも、どうにもこうにも譲りたくない氣持ちをぶつけ合う時間も、とても大切だと思うのだ。


そして、そのすぐ後に、2人は同じ斜面を歓声をあげて滑り降りていた。


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