「あ”~!!
 バナナ、持ってった~!!」


大声で誰かが叫んだので、何事かと見ると、
ちょうど、は~ちゃんのデザートのバナナを加えて、カラスが飛んで行くところだった。

お弁当を食べる場所を変えたくなっちゃって、デザートを置いたまま、
お弁当箱だけ持って、移動したのを、どこかから見ていたらしい。


「も~!なんでよ~!!」
と、びっくりするやら、悲しいやらのは~ちゃん。

「カラスが食べものを持っていくところ、初めて見れた!」と、興奮している子も。


すると、しばらくして、カラスが1羽、また飛んできて、近くの枝にとまる。

「くっそ~!こらしめてやる!」と、長い竹を持ちだす、は~ちゃん。


「でも、置き忘れちゃったのは、は~ちゃんだしねぇ。」
「バナナ食べれて、うれしいって言ってるかもね。」

「他にもおいしいものがないか、見に来たのかな。」
「バナナを取ってったカラスに、おいしいものあるよって聞いたから来た、
 別のカラスかもね。」

外野は、思い思いに想像を膨らませて、楽しんでいる・・・。


結局、枝にとまったカラスにも、竹は届かず、
どしんどしんと足を踏み鳴らしながら帰ってきた、は~ちゃん。


すると、
「はい。」と、あ~ちゃんの手が伸びてきた。

その手には、自分のデザートのリンゴ。


保育者のいそちゃんに、(カラスに取られないように)自分の分を
見張ってもらっておきながら、急いでは~ちゃんにおすそ分けに来てくれた。


「あ、ありがと。」

とっさにお礼は言ったけど、
「バナナの大きさには、足りないけどね。」と、
あ~ちゃんがいなくなってから、小声で照れ隠しをつぶやくは~ちゃんでした。


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