「も~! 持たないで~!」

大縄跳びをするために、柱に結んだロープの結び目。

自分が飛ぶ番になって、結び目を持っているいっくんの手を離してほしい、
は~ちゃんが、声を大きくする。


「だぁって、ほどけちゃうかもしれないでしょ。」

いっくんも、なぜ自分がロープを持っているかを主張する。


は「持たないでよ~!飛びにくい!」

い「あじめちゃんだって、ぎゅ~ってしてって言ってたよ!」


結び目がほどけそうだったから、ゆるんだ結び目を、
きつくしてほしくて、確かに”ぎゅ~ってして”と、言ったのは事実。
でも、いっくんには、”ぎゅ~っとつかんでて”と、伝わってしまったらしい。


目に涙をうかべたいっくんが、大縄を回すためにロープの反対側を持っていた
あじめのところへ来る。


その目が、自分は間違ってないよね?と無言で訴える。


「いっくんは、ロープがほどけないように、持っていてあげたかったんだよね?」

うなずく、いっくん。

「は~ちゃんは、持っていると引っかかっちゃうから、持ってほしくないんだよね?」

こちらも力強く頷く、は~ちゃん。


「どっちかが間違っているんじゃなくて、2人が違う氣持ちだったってことだけだと思うよ。
 持っていたいいっくんと、持っていて欲しくないは~ちゃんの、違う氣持ちがあるだけ。
 どうしようか。」


間違っていないと言ってほしそうだったいっくんは、言葉につまる。

でも、しばらくすると、何も言わず、大縄の飛ぶ順番待ちの列に並んだ。


保育終了後のスタッフミーティングでは、この話から、
この ”どちらかが正しいではなく、違う考え方があるだけ” を認め合って、
では、自分はどう考える?どう思う?と、考えることが、
世界の紛争、戦争を止め、平和な世界をつくる方法な氣がするねと、話し合った。

大げさではなく、私たちは、日々、
ここから平和で心地よい世界を創り出していきたいと思う。

230207