「う”っわ~ん」

森に響く、よっくんの泣き声。

船の入り口によっくんが作った、要塞のような門。
階段もばっちりふさいでいたので、船でご飯を食べたい人が登れるように、
板を動かしたのが、イヤだった。


「壊した!」

「登れないから、動かしただけだよ。またもとに戻すよ。」と、言っても、

「壊した!!」と、にらむばかり。

そして、涙が流れたのだった。


しばらく大きな声で泣いた後、
「どうやったら、泣くのが終わるのか、わからない~」と、しゃくりあげるよっくん。


周りで先にお弁当を食べ始めた子達も、心配そうに見ている。

「あじめは、言いたいことを全部言ったから、すっきりしたよ。
 まだ涙が出るってことは、よっくんの氣持ちが、全部でてないのかもよ。
 もう少し涙が出たいってことじゃないのかな。」


よっくんの言葉は続かずに、また「うわ~ん」と泣き声が大きくなる。


またしばらく泣いた後、
「水飲む?水筒取ってこようか?」と聞いたけど、
答えを聞かずに動いてしまったのが、またいけなかった・・・。


差し出された水筒を見て、
「なんで、水なんか持ってくるんだよ~!飲みたくなんかないよ~!」
と、さらに泣き声が大きくなる。


隣にいたいっくんが、
「お水を飲みたくないのに、持ってきたのがイヤだったんだね。」と
静かな声で、よっくんの氣持ちを確認する。


たくさん泣いたから、しゃくりあげてしまったよっくんは、
「どうやって、お弁当を食べたらいいんだよ~!」と、また涙が出る。


それでも、ひとしきり泣いた後、まだ呼吸は整ってなかったけど、
お弁当を開いて、少しずつ食べ始めた。


傍らにいることしか、できない。
涙の終わらせ方、タイミングは、自分しか、知らない。


でも、自分で決めたから、スッキリした顔で、
「今日のトマトはな、めっちゃ大きいねんで!」と見せてくれた。

船の上の空氣が、よっくんの笑顔で一氣に軽くなった。


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