「あ”ぁっっ」

がんばって集めたヤマモモをつぶしてジュースにし、
竹のコップもノコギリで切ってつくって、種が入らないように、
そぉっとビニール袋からコップに移したのに・・・

最後の1滴を絞り出そうと、袋をしごいたら、
手が滑って、竹のコップが倒れて、ほとんどのジュースは、大地へ染み込んでいった。


でも、思わず声をあげちゃったのは、傍らにいた保育者。


空になってしまったビニール袋を持って、はーちゃんはまたヤマモモを採りに来た。


「あのジュース、こぼれちゃった。」

びっくりするぐらいサラッと、何の感情も載っていない声で、はーちゃんが言う。


「え”~、そうなの?悲しい。」

と、想いを伝えると、


「え?何が?」

と、これまたそっけない返事。


あ:「だって、あんなにがんばって集めたのに。」

は:「え? がんばってないし。」


悲しい氣持ちを、ぎゅーと押し込めている感じがしたけれど、
はーちゃんが、そうすると決めたのなら、深追いはしないようにしようと思った。


は:「っていうかさぁ、さっき転んだ時に、ここ(脇腹)に枝がぐさっと刺さってさ~、
   めっちゃ痛かったんだよね~。」

目を拭うはーちゃんの手の甲には、涙がついていた。


あ:「そうかー、泣いちゃうくらい痛かったんかー。
   血は出なくてよかたねー。」

と、話を合せる。


しばらく一緒にヤマモモを拾っていたら、ふとした瞬間に、

は:「あーあ、手が当たらなかったら、よかったなー。」



本音が聞けた氣がした。


あんなに頑張って集めたヤマモモのジュースがこぼれてしまって、
しかも明らかに自分のせいだから、誰も責められなくて、
とってもとってもショックだったと思う。


再度20粒くらい拾えたら、ジュースにする、はーちゃん。

「今度は、すぐ飲むわ。」

と、先ほどの竹のコップにさっきの半分以下の量のジュースを入れる。


くいっと飲み干し、

「あー、おいしい★」


ぎゅーっと縮こまっていたはーちゃんの氣持ちが、解き放たれた氣がした。
その瞬間に傍にいれて、うれしかったなぁ。

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