「見てみる?この中。」

大事そうに抱えた、竹でつくったカップを覗かせてくれる、ひっちゃん。

中から取り出したのは、セミの抜け殻と、セミの羽。


「これ、めっちゃきれいなんだよ。」

傍らにいた、こっちゃんがセミの羽を自慢する。

何色とも形容しがたい、透明~白~薄い茶~茶色~濃い茶~黒が複雑に交じり合っている。


「あ、ここにもあったよ。」

ハンモックの下で、セミが死んでいた。

「これは、抜け殻じゃないみたいだね。」
「頭が、ないね。」

ひっちゃんが、そっとセミに鼻を近づける。


「羽だけ、もらうね。」


セミから、そっと羽をもぐと、また鼻を近づけてから、カップにいれる。


落ちているのを見つけるのは、大きな羽のことが多いけど、
小さい方の羽も、もちろんついている。

それも、そっともいで、鼻を近づけてから、カップにいれる。


「わ、なんか、匂う。」

羽を入れたカップを、改めて嗅いだひっちゃんが、カップを差し出す。

なるほど、なんだか毛の乾ききっていない、大型犬のようなにおい・・・。


感想を伝えると、

「こっちゃんちのヤギは、こんな匂いじゃないよ。」


まんまるっ子たちの鼻は、いろんな情報を知っている。
何氣なく、匂いを嗅いで確かめる感じに、野生を垣間見て、なんだかうれしくなる。

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↑今日は、カエルもたびたび遊びに来たよ

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