「これはダメだよ、最初には~ちゃんが使っていたんだよっ!」

ロープを木に巻き付けて、水道ホースごっこが盛り上がっていたし~くんに、
かっちゃんが物申す。

「いやだよ。
水が出るんだよ!じゃばばば~」

ロープの途中を引っ張って自分の方に持っていこうとするかっちゃんを振り払い、
し~くんの遊びは続く。


「は~ちゃんのだよ!!」


引き下がらない、かっちゃんの声は、だんだん大きくなる。

負けていないし~くんは、さらに激しく水を出して(という設定)、ロープを動かす。


とうとう、自分の氣持ちを聞き入れてもらえなかったかっちゃんは、泣き出してしまった。


「かっちゃんは、は~ちゃんに、このロープを使わせてあげたいんだね?」と聞くと、頷く。

当のは~ちゃんは、もう別の遊びをしているように見えるのだけれど、
かっちゃんの氣持ちは変わらない。

「し~くんも、このロープを使いたいんだね?」と聞くと、こちらも大きく頷く。

「でも、ロープは1本しかないね~、どうしたらいいかなぁ。」


「こっちのロープを使ったらどう?」と、傍らにいたあ~くんが赤いロープをかっちゃんに手渡す。

「そうする。」と、かっちゃんは涙を拭いて、赤いロープを受け取った。


一見落着に見えたけど、実は赤いロープは、さっきまであ~くんが遊んでいたロープ。
問題解決のために、自分の使っていたロープを手放してしまった、あ~くん。


「僕のロープ、なくなっちゃったな・・・」と事実に氣づく・・・。


「でも、それならこっちを使うからいいや!」
し~くんが使っているロープの木に結んであった
反対側を握って、振り回し、あ~くんはにっこり。


たくさん、たくさん考えて、心を揺らして、
時には自分の使っていたものまで、サラッと手放す。
こんな清々しい光景が、まんまるでは、たびたびあるのです。

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