「来てきて~、すごいもの見つけた~!」



き~くんの声に、集まって田んぼの水路をのぞき込む。


「わ~、アワアワだ~」

「こっちは、ちょっと色が違うよ!」

「あ、クモがいる!」

「何か動いた~」


思い思いの枝で水面の藻をかき混ぜると、発見がいっぱい。


「これに入れて~」 と、器とお玉を持ってくる子も。



しばらくすると、

「これ、見せてくる!」



山盛りの藻を持って、走って行った先には、
さっき転んでひざ下をすりむいたそ~ちゃん。

みんなの楽しい声は聞こえていて、ちらりと見たりはしていたけれど、
ケガをして気持ちが沈んでいて、仲間に入る元気はなかったみたい。

ひとり、離れたベンチに座っていた。




夢中になりながらも、仲間の存在を感じ、
大発見を共有したいという気持ちがまぶしかった。