「もう、いやだ~」

いつもみんなのロケットやお店屋さんになっている、横になった木のところで、
ひっちゃんの泣き声交じりの声がする。

「どうしたの?」

駆け寄ったひっくんが、傍にいたひっちゃんとひ~ちゃん、2人の顔を覗き込む。

お互いに運転がしたいと譲らず、ケンカになったことを言葉の断片を張り合わせて理解する。

「何になりたかったの?(何に、木を見立てたかったの?」とひっくんが聞くと、


「新幹線」と、2人の声が揃う。

「ひ~ちゃんも、ひっちゃんも、新幹線を運転したかったんだね?」
と再度確認すると、頷く2人。


しばらく考えて、
「いいことを思いついたよ!
ひっちゃんが前の運転手さん、ひ~ちゃんがうしろの運転手さんになればいいじゃんか!」


「はい、お客さん、乗ってのって!」

傍らで事態を見守っていたりっくんが、他の子の手もひっぱり、木にのせていく。

後ろも前も運転席ということになったのだけれど、
自然と最初に前と設定された方に向いて乗る、お客さん達。

でも、”うしろの運転手さん”になったひ~ちゃんも、楽しそう。

ひ~ちゃんが泣きやんだのを確認したひっくんは、

「僕がね、魔法をしたんだよ。
ね、ひ~ちゃんの涙がなくなったでしょう?」


得意げに耳打ちしてくれた、ひっくん。

みんなの力だけで、涙が乾く魔法、たくさん磨いてほしいなぁ。

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