「なんでダメなのっ?」

強い口調でこ~くんに聞く、あっくん。

自分が捕まえたカミキリムシを、入れていたやかんごと、場所を移動したいのに、
こ~くんが「ダメ!」の一点張りなのだった。

「どうして、ダメなの?僕が捕まえたカミキリだよ!!」


話し合いは平行線のまま。

実力行使に出ようとすると、こ~くんもさらに頑なになり、
「ダメなの~」と泣き出してしまった。

「もういいよ、いらん!」


カミキリムシの入ったやかんを押し付けるようにして、
あっくんはその場を離れて、ヤッホーテラスに登る。

様子を見ていたけ~くんが、
「お~い、1人で何してんだ~?」
と、下から声をかけたけど、悔しそうにぶつぶつ言う声が聞こえるばかり。


でも、しばらくすると、ヤッホーテラスから降りてきて、
再度交渉を始める、あっくん。

粘り強くこ~くんがダメだという理由を聞いていると、
どうやらさっきまで一緒に遊んでいたふっくんが、場所を動かすのを嫌がるからと。

「じゃあ、ふっくんに聞いてみよう」ということになり、
既にほかの遊びをしていたふっくんを呼ぶ。
「カミキリ、あっちに持っていったら怒る?」と、あっくんが聞くと、
「別に。どっちでもいいよ。」と、ふっくん。

「ほら、ふっくんは、動かしていいって言ってるよ!!」

それでも納得がいかないのか、引っ込みがつかなくなったのか、
まだ動かしてはいけないと、言い張るこ~くん。


「もういいよ!一匹あげるから!そしたら、いいでしょ。」


一匹のカミキリムシを、こ~くんの手に握らせると、やっと納得したみたい。


以前なら、自分の意見が通らないと、交渉をあきらめて、
ぷいっと1人になりたがった、あっくん。

今回は、あきらめかけたけれど、
もう一度、向き合って話し合うことを選んだ。

なんともいえない、いや~な空氣が一瞬流れたけれど、
次の瞬間には、じゃれ合うようにして仮面ライダーごっこが始まっていた。


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