「つかっちゃだめだよ!」


「なんでよ!!
じゃあ、きれいなの全部とっちゃうから!」



「だめだよ!そんなの!」



きれいな葉っぱのついた枝をめぐり、言い争う声が森に響く。

枝には、わっさわさとたくさん葉っぱがついているのに・・・。


しまいには、最初にダメだといった方の子が泣きだす。




(ほら、泣いちゃうくらい素敵でほしいのは、相手の子も同じだよ)

(”小さいから譲られて当たり前”ってのは、大きい子は不服だよ)

(こんなにたくさんあるんだから、みんなでわければいいじゃない)



そばで聞いていると理不尽な言い分や、自分のことばかりな言い争いに、
言いたいことはいっぱい。

でも、手が出ているわけではないし、じっと見守ってみた。


双方譲らず、枝を力ずくで自分の方に引っ張っていったり、
葉っぱを力任せにちぎりまくったり・・・。



しばらく押し問答が続いたら、
「じゃあ、みんなで使えるところに置こう」 って。


やった! と思った。

大人に無理やりけんかを止められたら、どちらにもしこりが残る。

”みんなでわける”ってことも、大人から決められたり、やらされたら、
表面的には解決したように見えて、納得いかなかったと思う。


その後は、きれいな葉っぱを互いにあげたり、交換したり。



揺れる気持ちをたっぷり受け止める、森での時間。
大人が介入して急いで解決するのではなく、子ども達の中から、
調和の心が芽をだしてほしい。



森には、さわやかな秋の風が吹き抜けていきました。

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